私がこの会社に転職したのは、ちょうど1年前(2021年秋)です。ですから「DXビジョン2022」はすでに始まっていました。私が前にいた会社はGAFAと呼ばれるアメリカの巨大IT企業の一つですので、DXにかけてはおそらく世界一だったと思います。だから、DXにはよくなじんでいたほうなのですが、トリドールホールディングスのDXは実に徹底していると驚きました。社内では戦略、戦術の組み立てという業務に集中し、バックオフィス業務は社内で抱えず、外部のBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)センターに任せる。ということをここまで徹底し、実現できている会社は少ないのではないでしょうか。
私がこの会社に入りたいと思ったのは、「メード・イン・ジャパン」を世界に広げる会社だったからなんです。
前職の出張でフランスを訪れた際、たまたま通りかかった通りにひときわ盛り上がっているお店がありました。何なのかな?と思って覗き込んだ際に、目の前で火柱を上げて調理をしているところをみて、不思議と元気な気分になれたことがありました。それまで食べ物というのは腹に入ればいいと思っていましたが、この料理を見て感動したのです。すごいなって、生まれて初めての体験でした。あとでそれがトリドールグループのWOK TO WALKというお店と知って驚きました。
また中国を訪れた際に、とある事情で帰国できなくなったことがあったんですが閉塞された状況の中で食べたのが丸亀製麺のうどんでした。丸亀製麺のうどんは日本と同じ、手づくり・できたてだったのですが、このとき食べたうどんは、気持ちを落ち着かせてくれ、その気持ちのまま働くことができたので最高でした。入社前の偶然の体験もあり、この会社は本気で「食の感動」を世界に広めようとしているのだなと、すんなり実感できました。
私たちはお客様に手づくり・できたての料理を味わっていただき、手間暇をかけた最高のサービスを体験していただく会社だと思っています。フロントは店舗の従業員です。しかし店舗でサービスの徹底とバックオフィス業務の徹底の2つを完璧にこなす、というのは至難の業です。ですから、その人手に余裕を持たせなくてはなりません。また、いま世界中でサービス業の人手不足が深刻な問題となっています。この傾向はもっと進むかもしれません。そのためにバックヤードは徹底的にDXを進める必要があります。
私たちのグループの強みの源泉を「二律両立」というキーワードで表現しております。本来であれば二律背反となる矛盾をはらんだ活動を両立する。それを実現していくうえで不可欠なものがDXです。これを深めていけば私はこの会社が確実に日本発のグローバルフードカンパニーになれると思っています。
真のグローバルフードカンパニーの実現は、DXの推進なしには成り立たないのです。