トリドールグループは「手づくり・できたて」のおいしさをお客さまにお届けすることを大切にしています。例えば丸亀製麺がお届けするうどんは、国内800を超えるすべてのお店で、一軒、一軒、毎日100%国産の小麦粉から店内にて麺を打っています。そして店舗には、この食の感動を体験いただくために、空調や照明などのさまざまな「設備」があります。
しかし、その設備を動かし最適な空間を作るためには、電気やガスなどのエネルギーを使用する必要もあります。
トリドールグループは、食を次世代にもつなげていくためには、おいしさへのこだわりだけではなく、私たちが住む地球の環境変化や、エネルギー問題に向き合った「サステナブルな店舗」作りが必要だと考えました。そのため丸亀製麺では、国内外食企業初の『ZEB』認証取得に向けて動き出しました。
突然の集中豪雨や、逆に乾燥による山火事の発生など、世界中で異常気象が発生しています。また、慢性的な気温上昇は、さまざまな生態系システムへ影響を与えています。このように気候変動は、誰しもが向き合うべき大きな問題となっています。
地球環境のために、私たちにできることは何か…。
そういった課題意識の中で、トリドールは『ZEB』に着目しました。
『ZEB』とは、「Net Zero Energy Building」の略称であり、快適な室内環境を保ちながら、高効率設備などによる「省エネ」と、太陽光発電などによる「創エネ」により、年間で消費する一次エネルギー消費量がゼロ、あるいは概ねゼロとなる建築物のことを言います。
丸亀製麺において『ZEB』認証取得を実現し、「環境配慮型店舗」のモデルケースを作るべく、お客さまと環境の両視点を取り入れた、新たな店舗創りを開始しました。
店舗のZEB化は簡単な取り組みではありません。ZEBプランナーである北海道電力株式会社の協力を得ながら、既存店舗の改修でZEBを目指していくという基本方針が定まり、最適な店舗探しが始まりました。
まず、太陽光発電による創エネルギーが不可欠となるため、太陽光パネルの設置に必要な敷地や屋根の面積を航空写真で調査。そして最も条件が揃っている三重県鈴鹿市の鈴鹿店を選定しました。
そして、平屋の屋根部分に太陽光パネルを設置。また駐車場にカーポート(簡易車庫)を増設し、その上にも太陽光パネルを搭載しました。合計として出力43.76kW の太陽光パネルを設置することができました。
省エネルギーに向けては、建物自体の構造にも改善を加え、高気密・高断熱を目指した改修を行いました。例えば断熱では、外壁と屋根も地域性を踏まえた最適なグラスウール断熱材を使用。窓には空気層を含んだ複層ガラスや金属樹脂複合製を採用し、これまで木製の建具だった窓枠はアルミ製に変更しました。
さらに、設備においては、最新の空調機器に一新し、全熱交換器も採用。換気する場合も、省エネルギーとなるインバーターファンを導入しました。給湯では電気式ヒートポンプ給湯器を、照明では制御機能が付いたLED照明の採用など、さまざまな設備改変により大幅な省エネルギー化と快適性を実現することができました。
このような取り組みの結果、基準値と比較し、設計値で一次エネルギー消費量を106%削減し、国内飲食企業初の『ZEB』(BEI=0.06)を達成することができました。
丸亀製麺 鈴鹿店の具体的な省エネ・創エネ対応(一部)
【創エネルギー】
・ ソーラーカーポート
・太陽光発電
・店舗内での発電量の可視化
【省エネルギー】
・高性能断熱材
・ヒートポンプ給湯器
・高効率空調機
・リチウムイオン蓄電池
・LED照明
・高性能窓
・全熱交換器
・ 高効率換気
【その他環境配慮の取り組み】
・店舗の廃食用油を次世代航空燃料のSAF(Sustainable Aviation Fuel)活用
・「Boiler Eco System(BES)」や「天かす絞り機」の導入
・ 地産地消を目的とした三重県産ひのきを使った内装
『ZEB』認証取得した鈴鹿店では、CO2排出量の年間13,000Kg削減が見込んでいますが、今後もエネルギー消費のデータを収集しながら、実際の効果を追っていきます。
今回の『ZEB』認証取得は、店舗の省エネルギー推進における最高峰を目指したチャレンジでした。
しかし、この認証取得はゴールではなく、始まりだと考えています。鈴鹿店の運用・分析はもちろんのこと、取り組みで得た経験を活かし、他店舗への設備検討の際にノウハウを生かしていく予定です。
お店に関わるすべての人の想いと技術。
快適さと環境問題…この二つの両立こそが、環境負荷低減の取り組みを進める上での大きな推進力になると今回実感しました。
トリドールグループは、次世代へも食の感動体験をつなげていくべく、これからも積極的にチャレンジを続けていきます。