トリドールグループでは、「手づくり・できたて」のおいしさをお客さまにお届けすることを大切にしています。例えば丸亀製麺がお届けするうどんは、国内800を超えるすべてのお店で、一軒、一軒、毎日100%国産の小麦粉から店内にて麺を打っています。
一方で、打ち立てのうどんにこだわり、お客さまのご来店に合わせて「できたて」をご提供するには従業員の経験が必要となり、時に「食品ロス」が発生してしまうこともあります。
ここでは、食品ロス削減に向けた丸亀製麺の全従業員を巻き込むプロジェクトをご紹介します。
トリドールグループは自然の恵みから得た食材をおいしく調理し、お客さまにご提供しています。だからこそ私たちは自然に感謝し、豊かな自然環境を守っていく義務があると考えています。
その一方で、丸亀製麺では「できたての生きているおいしいうどん」をお客さまにご提供することを大切にしています。この時、お客さまのご来店状況を予想しながら準備をしていまが、ちょうど良いタイミングや量のうどんを準備できるようになるまでには、実は長年の経験と勘が必要です。経験を積むまではうどんを準備しすぎてしまうこともあり、茹であがったうどんが廃棄されることも。
また、まだ食べられるのに捨てられてしまうこの「食品ロス」は取り組まなければならない社会課題です。例えば日本では、世界中で飢餓に苦しむ人々への食糧支援量よりも多くの食品ロスを出しています。
このプロジェクトでは、「できたての生きているうどんの提供」と「食品ロス削減」の両立を目指しています。
私たちは「茹で麺管理表」と言う、うどんを茹でるタイミングと量を管理するツールを開発しました。「茹で麺管理表」では、過去これまでのお客さまのご来店状況から数値が算出されます。一見するとシンプルなようですが、お店の場所や曜日、季節、気温、天気などによって、お客さまのご来店状況は全く異なります。
この「茹で麺管理表」は、お店で「1日の売上高」を入力するだけで、その日の時間毎のご来店お客さま数、うどんを茹でるタイミング・量が表示されます。あらかじめ平日、休日などいくつかのパターンの表を作成しておきます。
表示に従ってうどんを準備することで、まだ経験の浅いスタッフであっても、お客さまをお待たせすることなく、また茹で過ぎて食品ロスを出すことなく、安定的に「できたての生きているうどん」をお客さまにご提供することができます。
「茹で麺管理表」はお店の状況によって、紙とIpadのどちらかを導入していますが、既に丸亀製麺のすべてのお店で取り組みをはじめていて、うどんの廃棄量削減に効果が出てきています。
プロジェクト推進リーダー 根岸淳一
2007年入社。丸亀製麺、豚屋とん一での店舗マネジメント、本部での店舗管理業務を経て、2021年にサステナビリティ推進部に異動。プロジェクト推進リーダーとして活躍中。
私がプロジェクトでこだわったのは「できたてのうどんを常にお客さまに提供し続けること、従業員が同じ基準でうどんを管理できること、そして、従業員の作業負担を軽減すること」です。
店舗ではやはり「お客さまにできたてのおいしいうどんを提供したい」という想いが強いので、茹で麺管理表を活用することで、従業員の経験年数に関係なく、適切な量、タイミングで、安定的なうどんを準備することが可能になります。
また、茹で麺管理表を適切に運用するには、従業員の理解も重要だと考えました。そこで事前に店舗管理者には地球環境への配慮は重要な経営課題であることも含め、プロジェクトの目的を説明し、取り組みの重要性を理解してもらえるよう努めました。
運用のしやすさに関しては、何度も検証を重ね、従業員の負担を軽減し、誰でも運用できるよう工夫しました。一部店舗より、タブレットを使った試験運用も始めています。
現在、丸亀製麺全店舗に「茹で麺管理表」は導入済ではありますが、店舗の声を聞きながら、より効果的な活用ができるよう、改善を続けていきたいと思います。
丸亀製麺パートナースタッフ 鈴木三華子さん
2012年入社。丸亀製麺我孫子店パートナースタッフ。全国の丸亀製麺でたった3人の二つ星麺人(2022年9月末現在)。
プロジェクト発足以前から、麺の廃棄が出ないように気を付けていました。
環境という視点もありますが、製麺担当者としては、自分で仕込んだ麺は我が子のようにかわいく、「捨てたくない」という気持ちが強いんです。
新人トレーニングの際には、「お客さまにできたてのおいしいうどんを、お待たせすることなく提供する」ということを大切に、茹でる量やタイミングを調整するように伝えていました。
ただ、想いを理解してもらうことはできても、茹でる量やタイミングの調整は経験によるものが大きく、難しさもありました。
茹で麺管理表が導入されたことで、それまで感覚で行っていたことがデータで表示され、自分自身も安心感がありますし、新人トレーニングもしやすくなりました。
お客さまにとっても、働く私たちにとっても、そして環境にも、とてもよいプロジェクトだと感じています。
【関連情報】
食品ロス削減と、「できたて」の両立を目指す茹で麵管理表プロジェクトで、特に功績を残した店の表彰式を行いました。詳しい模様を、是非下記リンクよりご覧ください。