◆PROFILE
宝 太祐
2020年1月入社
商品部 商品開発一課
辻調理師専門学校卒
料理界の東大ともいわれる世界3大料理学校のひとつ辻調理師専門学校で料理を学ぶ。卒業後は、和食創作料理のお店で3年間修行し、同店をオーナーから譲り受け、共同経営者として店舗運営に携わる。その後、和食をベースとした洋食店を立ち上げオーナーシェフとして活躍。トリドールホールディングスへは2020年にジョイン。丸亀製麺店長を経て、現在は商品開発を手掛けている。
・トリドールホールディングスに入社する前のキャリアを教えてください。
私は辻調理師専門学校を卒業後、在学中にお世話になっていた和食創作料理のお店でそのまま正社員として働くことになります。そこで料理人としての基礎を学ぶことができました。それから3年ほどして、独立を考えていたところ、オーナーから「お店を譲りたい」という話をいただき、当時一緒に働いていた同僚と2人で共同経営を行うことに。早くも目標としていたオーナーシェフとして店舗運営するという夢を果たすことができました。
その後5年間、手探りながら店舗運営を行い、経営は順調。ただ、和食以外のジャンルにも挑戦したいという想いが強くなり、今度は自分一人で経営する個人店を持つ決意をします。新しく開いた自分のお店は、和食をベースにした洋食店。地元に密着した常連さんから愛されるお店で、従業員の定着率もよく、自分のやりたいことができているという実感がありました。経営も順調で、本当の意味で「自分の店を持つ」という夢が実現できたと思います。
・夢であった自分の店を構え、経営も順調の中、なぜ転職を決意したのですか?
私の野望のひとつとして、店舗展開をしたいという目標があったんです。確かに経営は順調でしたが、2号店、3号店を出していくほどの余裕はなく、独立から5年が経ってもその夢は実現できずにいました。そんな時、トリドールを知って「どうしてこんなに店舗展開ができるんだろう」「どんなノウハウが隠されているのか」と素直に興味を持ったんです。そのノウハウを学びたいという想いが日々強くなる一方、せっかく軌道に乗ったお店を閉じてしまうことへの迷いもありました。でも、家族をはじめお店の常連さんたちにも背中を押してもらい、思い切って新しい道を歩むことに決めました。
・数ある企業の中でなぜトリドールホールディングスへのジョインを決めたのですか?
もともと興味を持っていた企業のひとつではありましたが、一番の決め手となったのは、挑戦しやすい風土があることでした。他企業では求められる役割や要望がきっちりと決められているのに対し、トリドールでは手を上げれば色々なことに挑戦できる環境だと聞き、その柔軟でオープンな風土に惹かれました。また、実はトリドールの1号店が自分の地元にあり、子どものころよくご飯を食べに行っていたんです。当時はその1店舗しかなかったお店が、今では日本全国・世界に店舗を展開する大企業に成長していることに驚き、同時に縁みたいなものを感じました。
・トリドールホールディングスでの仕事について教えてください。
入社後は、丸亀製麵の店長として配属されました。これまで店舗運営に関しては10年の経験がありましたが、ほとんど独学で学んできたこともあり、その体系化された経営ノウハウにまず驚きかされました。従業員のシフト作成ひとつとっても最新のデジタルツールを使用するなど、1つ1つの業務が最適化されていて、とにかく新しい学びに溢れた毎日を過ごしていました。それから半年ほど経ったころ、これまでの経験を活かして新商品の開発を手掛けてみないかと打診を受け、商品開発へジョインすることになります。
商品開発としては現在、麺業態(丸亀製麵・ふたば製麺・天たまや)を担当。購買、品質管理、マーケティングなど様々な部署と連携を取りながら、商品の企画段階から開発を進めています。自分でお店を経営していた時も当然、新メニューの開発は行っていましたが、個人店とは全く違う側面が求められるのがトリドールでの商品開発。例えば、自分が美味しくできたと思った商品でも、検証販売に出すといい結果が得られないこともよくあります。個人店と違って、ただ美味しければいい訳ではありません。併売商品との関係性や商品の打ち出し方など様々な要素が売上につながっていきます。その他にも、衛生面にエラーはないか、現場でのオペレーションはやりやすいか、コスト面は問題ないかなど、たくさんの要素を考慮する必要もあります。たくさんの企画と試作を重ねる中で、全国展開される商品となるのはほんの一握り。この狭き門を潜り抜けるため、関わる人すべての力を振り絞って新しい商品を生み出しています。
・これまで宝さんが開発し実現した商品の中で印象深いものはありますか?
すべてが思い出深く、たとえ実現しなかったとしても、自分の糧になるものばかりなのですが、1つ例として挙げると、シェイクうどんの新メニューとして「こくうま玉子のカルボナーラうどん」という商品を手掛けました。もともとカルボナーラは温かい料理ですが、シェイクうどんでは冷たいカルボナーラにする必要があり、そこは開発する上で大変な部分でもあり、こだわった部分でもあります。また、カップで食べるため、どうしても麺にソースが絡まりにくいという課題もありました。それを解決したのが、玉子サラダ。玉子サラダを入れることによって麺とソースが上手く絡み、カルボナーラならではのコクのある味わいがカップでも楽しめるようになりました。検証販売でも高評価で、すぐに全国に展開。自分のつくった商品が、日本全国のたくさん人に食べられ、美味しいと評価してもらえる喜びは、これまで料理人として生きてきた中でも感じたことのない新しい感覚でした。
・宝さんが大事にする「価値観」は何かありますか?
私が料理人になるきっかけのところまで遡るのですが、もともと私は母子家庭で育ち、いつも兄弟に料理を振る舞っていたんです。兄と弟が「美味しい!」と食べてくれるのが嬉しくて、その喜びが原体験としてあります。また、実は調理学校に入る前は、工業高校を卒業して一度工場に就職しています。モノづくりが好きで入社したのですが、工場では商品を自分の好きなようにアレンジできないんですよね(笑)。でも、料理なら自分の好きなようにアレンジできると思って、日本でも屈指の料理学校に通うことにしました。「料理を通して、自分を表現し、誰かを笑顔にする」それが自分の価値観の根底にはあると思っています。
・誰かを笑顔にする場として、個人店ではなくトリドールを選んだ理由は何ですか?
料理人の中には、自分の料理を目の前のお客様に食べてもらうことに喜びを感じる方も多いと思います。もちろん私も、目の前の人に喜んでもらうのは嬉しいことなのですが、それよりも多く人を笑顔にしたいという想いも強くあります。例えば、私が友人に美味しい料理のレシピを教えたら、その友人が料理を振る舞うことで、笑顔になる人が何倍にも増えることになります。だからこそ、個人店を経営していた時も、多店舗展開を目標として掲げていた訳です。そして、この「たくさんの人を笑顔にしたい」という想いは、トリドールで実現させることができています。正直、料理人としてこんなに幸せなことはないですし、とにかく今、仕事が楽しくて仕方ありません。
・仕事をする上での「こだわり」は何かありますか?
「現場」をイメージすることは忘れないように商品開発を行っています。もちろんお客様を笑顔にすることは最終目標ではあるのですが、その手前にいる現場スタッフ(作る人・サーブする人)を満足させることが、最終的にはお客様の満足につながると思っています。これは、私が個人店を経営していた時の経験則なのですが、お客様が最も「この商品を頼みたい」と思う瞬間は、店員が「私この料理好きなんです」と一言付け加えた時なんです。決められたマニュアル通りの言葉ではなく、感情が乗った言葉にお客様は期待感を膨らませます。それと同じことがトリドールの各店舗でも起こすことができると思っています。「作り手がつくりたいと思える」「接客の際についついオススメしたくなる」そんな商品を開発できれば、自然とお客様に商品の魅力が伝わり、満足感につながっていくはずです。
オペレーションひとつとっても、この感覚を持っているかどうかで、完成度は大きく違ってきます。「こんなに簡単なのに、こんなに美味しく作れるなんてすごい!」と、現場スタッフたちが驚いている風景を想像しながら、いつもオペレーションフローや盛り付けなどを考えています。人を大切にするトリドールだからこそ、この部分はこだわり抜きたいと思っています。
・最後に、これからどんな活躍をしていきたいか教えてください。
商品開発の魅力は、トリドールが展開する全ブランドに関わるチャンスがあるということです。現在は麺業態を担当していますが、今後は海外発のブランドを含めて色々なジャンルの商品開発を手掛けてみたいと思っています。また、海外展開する場合は、海外のお客様に合った味付けを考えていく必要もあります。日本人との好みの違いや文化の違いなどを考慮しながら試行錯誤していくのも面白そうです。このようにトリドールでは、挑戦するフィールドに限りがありません。常に刺激的で、好奇心がそそられるプロジェクトばかりなので、挑戦を楽しみながら、料理人としての腕を磨いていきたいです。