◆PROFILE
冨谷 武史
2021年4月入社
海外事業本部 副本部長
(海外事業企画部 部長 / グローバル戦略室 室長)
ミシガン州立大学 国際関係学部・経済学部卒
ミシガン州立大学を卒業後、新卒でJICA(国際協力機構)へ入社し、ウガンダ、日本、マラウイ にて発展途上国の支援に従事。その後、世界的な経営戦略コンサルティングファームであるローランド・ベルガーとボストン コンサルティング グループ の2社を経験。世界中の大企業の経営戦略の策定や実行に関わり、活躍の舞台は、日米欧等の先進国から、アフリカ等の開発途上国にも及んでいた。。 トリドールホールディングスへは2021年にジョインし、現在は、海外事業本部副本部長として、杉山副社長兼海外事業本部長と共に、海外事業全体を推進する役割を担う。
・キャリアのスタートとなるJICAに入社するきっかけを教えてください 。
私は日本で生まれ育った後、アメリカの大学に進学したのですが、国際関係学部のプログラムの一環でイラクやアフガニスタンの復興を支援する企業でインターンをしたがきっかけで、国際協力に関心を持ちました。そして、日本にもJICA(独立行政法人国際協力機構)があることを知って、すぐに日本に帰国して試験を受け、晴れてJICAの一員になるわけです。「興味があると、すぐに行動する」というのが私の性格でして、海外の大学に進んだのも、高校3年生のとき世界同時多発テロが発生し「世界で何が起きているのだろう」と強い関心を持ったことがきっかけでした。
・JICAではどんな仕事をしていたのですか?
JICAの取り組みとしては青年海外協力隊の知名度が高いですが、その他にも、専門家を派遣した技術支援や空港や高速道路などのインフラ開発支援など、、開発途上国が直面しているあらゆる問題を解決するための支援を実施しています。私は特にアフリカ各国の支援を担当することが多く、駐在したウガンダやマラウイなどで、農業開発支援や水力発電所の建設サポートなど、国づくりの根幹となるところを支援していました。特にマラウイは世界最貧国の1つとされ、ありのままの大自然が残る一方、社会・経済的にはたくさんの課題を抱えていました。この規模の問題になると、プライベートセクターのみではどうすることもできません。パブリックセクターにしかできないことがあると考え、すぐに結果はでないものの、今いる子どもたちが大人になるころに、少しでも住みやすい国になっていてほしいという想いで頑張っていました。
・強い想いを持って働いていたと思いますが、なぜ戦略コンサルの道に進むことに?
先ほどパブリックセクターにしかできないことがあると言いましたが、同時に公的機関を通じた支援に非効率さや限界も感じていました。マラウイは南部アフリカに属しますが、その近くには南アフリカ共和国(以下南アフリカ)という国があります。休暇で南アフリカを訪れた時、多くの社会課題を抱えつつも、驚くほど経済が発達していることを知り、そのダイナミックさとスピード感に驚きました。たしかにJICAでしかできないこともありますが、プライベートセクターでアフリカの経済活動をスピード感をもって盛り上げていくほうが、自分に合っているのではないか。そう考えた結果、まずは武者修行として、経営戦略コンサルティングのフィールドに挑戦することにしました。
・アフリカ支援のために経営コンサルに入る。ユニークな動機と行動力ですね。
アフリカの企業をより大きくする。よりインパクトのある事業成長に導く。。それによってアフリカに住む人々の人生をより豊かにする。JICAでの経験を通して、人生の大きな夢ができました。でも、今の自分にはそれを達成させるスキルも経験もない。そこで、最も早く成長できる場所はどこかと考えた結果、経営戦略コンサルティングファームという選択に至りました。そして、実際にヨーロッパ最大の経営戦略コンサルティングファームであるローランド・ベルガーに転職する訳ですが、やはり多くの学びがここで得られましたね。東京やミュンヘンで3年、世界中の名だたる大企業をクライアントにコンサルティングを行う中で、経営戦略における“本質”の一端を知ることができ、3年の武者修行を終えて再度アフリカに戻ることを決意します。
・そこで南アフリカにてボストン コンサルティング グループ(以下BCG)にジョインするわけですね?
その通りです。BCGでは当初の目的通り、南アフリカの大企業をコンサルティングする機会に恵まれ、南アフリカに留まらずアフリカ全土でのビジネス拡大を推進するサポートをいくつも手掛けました。
南アフリカでは家族と一緒に暮らしていたのですが、自分の夢のために生後3ヶ月の娘を連れてついてきてくれた妻には本当に感謝しかありません。住んでいたヨハネスブルグは南アフリカ最大の都市ですが、犯罪率の高さなど治安面で課題もあります。不安もあったと思いますが、私の夢を最大限サポートしてくれました。正直、このまま南アフリカで永住しようと思っていたのですが、そんな時トリドールからのオファーが届き、また人生が大きく変わることになります。
・夢を実現した中、なぜトリドールホールディングスへのジョインを決めたのですか。
正直、南アフリカに永住しようと思っていましたし、BCGでの仕事を通してアフリカの経済発展に貢献できている実感もありました。BCGでの仕事はドリームジョブなんです。世界的な企業が社運をかけるような大きなプロジェクトを、ともに戦略を描き、実行まで伴走できる。それが大きな喜びにつながる訳ですが、同時にプロジェクトが終了するとそこで一緒に追いかけていた夢が終わってしまうというジレンマも抱えています。コンサルの仕事が終わったあとも、その企業が描く夢は続いていく。その夢を一緒に最後まで追いかけたいという気持ちがどこかにあったのだと思います。
そんな時、トリドールから海外での大きな成長を実現するための戦略を一緒に描いていかないかとオファーを頂きました。現副社長の杉山から直接トリドールの夢についての話を聞き、まさに自分がやりたかった「大きなビジョンを掲げ、強い戦略を描き、実行から組織強化まで一貫して担う」仕事ができると思いました。コンサルでは合理的・論理的に物事を考えていくことがベースになりますが、私自身の決断においては、最終的には「自分の心の琴線に触れるか」をとても重視します。直感的に「この機会は逃しちゃいけない」と思い、トリドールへのジョインを決めました。
もちろんアフリカに対する気持ちがなくなった訳ではありません。でも、考え方が少し変わって、結局は「そこに想いがあるかどうか」なんだと思うんです。国際協力機関の立場で国づくりを支援する。経営戦略コンサルティングの立場で経済発展を支援する。そして、食の感動を届けて人を幸せにする。どれも過去の自分の琴線に触れた想いが詰まったものですので、自分の中では、不思議と違和感なく繋がっています。確かにトリドールでの仕事が直接的にアフリカの貧困問題を解決することにはなりません。でも、私たちが届けた「食」で少しでもその人の人生に彩りを加えることができるなら、それだけで自分の人生をかけるだけの大きな意味がある。そして、「食の感動で、この星を満たせ。」というスローガンを掲げているトリドールであれば、いずれアフリカをはじめ世界中の国々に食の感動を届けることができるはず。世界中を食の感動で満たせたなら、それが一番自分らしい世界平和への貢献の仕方なんじゃないかとも思うんです。
・活躍する場所は異なっても、一貫して想いはつながっているんですね。
そうだと思います。具体的な夢は変わっても、それは地続きというか、これまでの夢の延長線上にあるという感じです。でも、実際チャレンジしてみると本当にやるべきことがたくさんあり、難しさも実感しています。トリドールが追及するフードビジネスは、お客様に食の感動を提供するものです。しかも本能が歓ぶレベルの感動。これって極めて主観的なものなんですよね。感動の本質を見極める必要がある。探求し続ける必要がある。それが難しくもあり、面白さでもあると思っています。
・トリドールホールディングスではどんな仕事をしていますか?
海外事業本部の副本部長として、海外事業全体のあるべき姿や実現のための戦略を描きながら、各部署(海外事業企画部やグローバル戦略室)にも入り込んで、海外事業の推進を担っています。同時に海外子会社の経営層を現地で採用したり、社長と一緒に世界中の飲食店を回ってM&A先を検討したり、海外での高い成長目標を達成するために日々奔走しています。
私が仕事をする上で大切にしていることは、「他人と競争しない」こと。これは大好きなバスケット選手の言葉なのですが、他人と競争するのではなく、夢を実現するもう一人の自分と競争するという意味なんです。夢を実現するもう一人の自分は、今何をしているだろう。そう考えると、やるべきことが見えてきます。さぼらずに努力します。また、日本でも海外でも、この人にはかなわないな、と思う人とたくさん出会います。。上には上がいるので、競争していたらキリがありません。大切なのは自分の物差しを持って、1mmでもいいから前に進むこと。それが自分らしい夢を持ち、実現するための最短距離だと思うんです。
・トリドールで見つけた新しい夢。これから楽しみですね。
挑戦していてこんなにワクワクすることは他にありません。過去の職場では少し仕事に慣れてくると「大体このあたりまで成長できるな」と天井が見えてしまうことがあったのですが、トリドールだと伸びしろの先が見えない。トリドールの成長はこれからの戦略と実行次第で本当に青天井だと思っています。もちろん、世界中にたくさんの飲食店がある中で、トリドールのブランドを選んでいただき、なおかつ一人ひとりのお客様に感動を生む体感を提供することは簡単なことではありません。でも、それを実現できる大きな可能性を秘めていますし、世界中で熱狂を生み出すことができる会社だと私は信じています。
これはインタビューだから大げさに言っている訳ではないのですが、私は今「日本一楽しい仕事をしている」と思っています。一人でこんな楽しい仕事を独り占めにしていいのか、成長する機会を独占していいのか、と思っているくらいです。もちろん一人で食べつくしてもいいのですが(笑)、できれば同じ志を持つ仲間と一緒にこの楽しさをシェアしたい。そして、食の感動で、この星が満たされるまで、みんなで走り続けていきたいです。