◆PROFILE
宮林 里美
2019年3月入社
KANDOコミュニケーション本部 マーケティング部 次長
兼 株式会社丸亀製麺 マーケティング本部
コミュニケーションデザイン部 部長
(戦略企画本部 商品企画部 次長兼務)
文京学院大学 経営学部卒
文京学院大学を卒業後、新卒で飲食業界大手の株式会社レインズインターナショナルへ入社。店長・トレーナーなど現場での経験を経て、広報、人事、経営企画など幅広い業務に携わる。その後、親会社となる株式会社コロワイドに異動し、ホールディングス広報室の副室長として活躍。トリドールホールディングスへは2019年にジョイン。丸亀製麺をはじめとする様々なブランドのマーケティングを含め、商品企画から広報・PR戦略まで一貫して手掛けている。
・トリドールホールディングスに入社する前のキャリアを教えてください。
大学卒業後は、飲食店でのアルバイトをきっかけにレインズインターナショナルへ入社します。もともとは飲食業界よりもメーカーを就職先として検討していて、というのも私には「自分で考えたものを生み出し、世の中に広めていきたい」という野望が学生時代からあったんです。それを実現するためにはメーカーが最短距離だと思いました。でも、どうしても大手メーカーだとキャリアを築くのに時間がかかってしまいます。それなら若手のうちから大きな挑戦をさせてくれるフィールドで働きたいと思い、外食産業の世界に足を踏み入れることになります。
この選択は大正解で、レインズインターナショナルでは本当にたくさんの挑戦と経験をさせてもらいました。店舗経営のノウハウ、人を管理するマネジメントスキル、人事評価や人材採用の手法、インナーアウターブランディングの考え方、食材の生産から料理がお客様の手に届くまでのロジスティックスの流れなど…ここで培った経験と知識は、今の私を支える基礎になっていると思います。
さらにホールディングスでの広報室にて副室長を任されるなど、事業会社とは違った視点での業務を経験する機会もいただきました。キャリアという意味では順調に階段を上り、安定したポジションを築いていたかと思います。
・安定したキャリアを歩んでいる中、なぜ転職を決めたのですか?
一番の理由としては「マーケティングをやってみたかった」というのが素直な気持ちです。当時30代後半で、新しい分野にトライするなら今がラストチャンスかなと思ったんです。正直、日本を代表する大手企業の重要なポジションを任され、とても安定していましたし、やりがいも感じていました。でも、どこかで「もっと挑戦したい」「まだ何かできることがあるのでは?」という想いが心の中にずっとあったんです。
広報という仕事は、すでに出来上がったものを世の中に広めていくことや、会社をより良い方向にブランディングしていくのがミッションとなります。学生時代に抱いていた「世の中に広めていく」という夢は叶えられましたが、「自分で考えたものを生み出す」という夢はまだ実現できずにいました。ゼロから新しいものを生み出すことにチャレンジしたい。それが転職を決めたきっかけです。
・数ある企業の中でなぜトリドールホールディングスへのジョインを決めたのですか?
まずは「食べることが好き」という気持ちと「お客様により近いところで挑戦したい」という想いから同じ外食産業を選択しました。その中で、トリドールに一番惹かれたところは「人」を大切にしている部分です。人を大切にする社風。人の温かみを感じるブランドづくり。接客にこだわる姿勢。外食産業をはじめ様々な分野で効率を重視し省人化が進む中、トリドールだけは時代とあえて逆行し、「人」を重視する考え方に共感しました。さらに、海外にどんどん挑戦していくという話を聞き、「すごいものが生まれそうな気がする」と直感したのが大きな理由です。
・トリドールホールディングスでの仕事について教えてください。
これまで様々な業務・ポジションを経験してきましたが、マーケティングという仕事は初めての経験。入社当初は、これまで得意としてきた広報の業務も担当しながら、イチからマーケティングについて学んでいった感じです。今では商品開発部と一緒に商品企画を考えるところから入って、商品の試作・検証、社長プレゼンを経て、TVCMやポップアップストアのイベントなどのPR活動に至るまで、0から10まですべてを一貫して担当しています。
トリドールでは単純に多くの人にリーチすればいいというPR戦略は打ちません。「ブランド」の価値をとにかく大切にしているので、細部までこだわり抜いてPRの企画を考えていきます。よく社内では「ブランド・オン/オフ」という言葉が飛び交います。ブランドを強くする企画であれば「ブランド・オン」ですし、ブランドのイメージに合わなければそれがいかに集客力のある企画だとしても「ブランド・オフ」として採用されません。言葉ひとつとっても、例えば「もちもち」が良いのか「もっちもち」が良いのか、本当に細かいところまで話し合いを行います。でも、このこだわりを貫いたからこそ、2022年に「顧客体験価値(CX)ランキング1位」、2023年には「CM好感度ランキング総合1位」を獲得するブランドへ成長できたのだと思っています。
・自分で商品を生み出し、自らの手で世の中に広める。学生時代の野望が実現した訳ですね。
まさにこれが自分のやりたかった仕事だと日々実感しています。今までに世の中になかった価値を提供するのは怖さもありますが、成功した時の喜びは言葉では表わせません。例えば「シェイクうどん」。これはもともとドライブスルーのある店舗から「ドライブスルーで注文する際、食べやすい形状のものは何か作れないか」と相談されて生まれたアイデアです。結果的に全国展開する商品となる訳ですが、商品開発からPRまで本当に試行錯誤の連続でした。
シェイクうどんは、今までの丸亀製麺のイメージを変える「新しいお持ち帰りの新体験」を提供する商品です。KANDO体験を大切にする丸亀製麺として、この新体験をどう打ち出していくか苦労しました。「丸亀製麵らしさを出しつつ、どうイメージを脱却していくか」特にTVCMの表現にはかなりの時間をかけましたし、カップ1つとっても透過度(透明度)を0%~100%まで100種類のカップをつくって検証を繰り返したり、SNSでどう投稿されるかまで計算して、商品とPR企画がつくられています。0から1をつくる面白さ。そしてそれを10にしていく大変さ。どれもマーケティングの醍醐味です。
・宮林さんが大事にする仕事に対する「価値観」は何かありますか?
根本的な行動原理として「人が喜んでいるのを見るのが好き」「目の前にいる人を笑顔にしたい」という気持ちがあると思います。これは、高校時代にサッカー部のマネージャーとして選手をサポートしていた時にも感じていましたし、大学時代にアパレルや飲食店でのアルバイトでも強く実感していたことです。「人」との関りから生まれる喜びが、今の自分の価値観をつくっている気がします。
あとは、安定するよりも、やったことのないことに挑戦したり、自分の知らなかった世界を見ることに魅力を感じます。トリドールに転職したのも、まさにこの価値観があったからこそ。整備された安心できる道を歩くより、でこぼこ道を整備しながら歩いていくほうが、人生は面白くなると思っています。
・仕事だけではなく、人生においても同じ価値観を大切にしているのですか?
仕事とプライベートの区別はあまりないほうですね。私は趣味でサーフィンをするのですが、人生も仕事もサーフィンと似ているところがあると思っています。結論から言うと「波に乗ったもん勝ち」ということなんですが(笑)、でもそこにたどり着くまでの過程は、冷静に状況を把握して先読みしながら「次はここに波が立つはずだ」と頭で計算していく必要があります。これは、仕事でも人生でも本当に大事なこと。「どう波を掴むか」いつも考えている人が、チャンスを掴むことができるのだと思います。
それでいうと私は、仕事もプライベートも同じ趣味みたいな感覚でいます。サーフィンで出会う仲間との会話から新しい企画の着想を得ることもありますし、逆に仕事で得た知識や経験がプライベートを豊かにしてくれている気もします。食べ歩きも半分趣味、半分仕事みたいな感覚で色々なジャンルのご飯を食べに行きますが、仕事にとっても人生にとっても無駄になることは1つもありません。そう思うと、そんな仕事に出会えたのは、幸せなことかもしれません。
・トリドールホールディングスの魅力はどんなところにありますか?
トリドールの魅力はたくさんありますが、1つ挙げるとすると、会社全体が1つのチームとして動けることだと思います。2024年に「丸亀製麺所」というポップアップストアをPRの一環として作りました。この企画は、丸亀製麺の全店舗に麺職人(※麺作りの技術・知識の優れた人に与えられる称号)の配置が完了したことを記念するイベントです。まさに丸亀製麺のブランディングにおいて、ど真ん中をいく重要な企画。その企画ブレスト中、「TVCMで流した製麺所をそのまま店舗に再現できないか」とアイデアが出ました。「それは無理かな」と一瞬思ったのですが、建設チームから「できるよ」と声が上がり、次々に実現に向けたアイデアが飛び交うことに。結果、実際の店舗を大規模に改装した本格的な「製麺所」が完成しました。イベント時には、通常より2倍近いお客様が来店。メディアにも多数取り上げられ、大成功のPR企画となりました。
この企画が実現できたのは、部署を横断したチームでの連携があったから。会社全体が1つのチームのように動き、それぞれがプロフェッショナルな仕事をする。そのスピード感とクリエイティビティが、トリドールの大きな成長を支えているのだと思います。
・最後に、これからどんな活躍をしていきたいか教えてください。
今もこれからも私がやっていきたい根本の部分は同じだと思っています。それは、「お客様に喜んでもらえるかどうか」。すべてはこのことを基準に判断していますし、商品を生み出す時も、PR企画を考える時も、「今自分がやっていることは、お客様の笑顔につながっているか」ということを常に意識しています。これはトリドール全体が大事にしている価値観でもあり、会社のミッションと根本の部分で共感できていることを嬉しく思います。トリドールは、いくら挑戦しても、し足りないほど可能性に満ちた会社です。まだ世の中にない価値を、人々がアッと驚く商品を、これからも生み出していきたいと思います。