◆PROFILE
DAVID HERLICH デイビッド ハーリック
2021年3月入社
海外事業本部 海外事業企画部 事業推進課
ピッツバーグ大学・キャッツ経営大学院・経営学修士 (MBA)
ピッツバーグ大学院を卒業後、2011年に来日し、青森県にて学校の英語教師として勤務。その後、アメリカに帰国し、日本人有名アーティストのコーディネーターとして、プロジェクトやイベント企画に従事。
その後、コーヒーショップ「ゴリラコーヒー」の店長を経て、ゴリラコーヒー日本進出のサポートを担当。このプロジェクトを機に、再度日本に在住し、ベイクルーズグループへ入社。5年ほど海外へのフランチャイズ展開や新店開発などの実績を重ね、2021年にトリドールホールディングスにジョイン。
・日本に来ることにしたきかっけは何ですか?
高校生の時に欧米以外の本を読んでくるという宿題が出されたんです。その時、たまたま宮本武蔵の本を読んで、義理・人情という日本の文化に興味を持ちました。その後、大学でも言語学を専攻し、日本語の授業も受けていたので、卒業と同時に日本に行ってみようと決意しました。来日してからは青森で学校の先生として3年ほど働き、南部弁をマスター。そのあと標準語に直すのが大変で、いまでも南部なまりが時々出てしまいます(笑)。日本に来たことで深く日本の文化を知ることができ、さらに日本が大好きになりました。そんな中、趣味でミュージックフェスティバルを青森で開くことに。そのイベントが人気になったことで、一度アメリカに戻り日本の有名なアーティストのプロージェントコーディネーターを始めることになります。
・一度アメリカに戻られるんですね。アメリカではどんな仕事をしていたのですか?
アーティストのプロージェントコーディネーターの仕事はすぐに辞めてしまい、ゴリラコーヒーというコーヒーショップで働き始めます。最初はいちスタッフとして働いていたのですが、すぐに店長になり、ブルックリンの店舗を任されることになりました。そんな中、ゴリラコーヒーが日本にフランチャイズ展開することに。その際、私が日本語を話せるということで、日本での店舗立ち上げのサポートとして同行することになりました。そのプロジェクトが終わったタイミングで、今度は日本でフランチャイズ事業を展開するベイクルーズグループにジョイン。日本のブランドを海外に持っていったり、海外のブランドを日本に持ってきたり、海外でのフランチャイズ展開や新店立ち上げの実績をここで積みました。
・また日本を拠点に働き始めた理由は何ですか?
日本の文化を知り、アメリカの文化も知る。そんな自分だからこそできる仕事がこの場所にあるんじゃないかって思ったんです。実際、ベイクルーズグループでは、日本とアメリカを言語的にも文化的にもつなぐ役割を果たし、多くのブランドのフランチャイズ展開に貢献することができました。海外では日本文化はとても人気があります。でもあまり積極的に海外進出する日本のブランドはありません。日本の魅力を知っているからこそ、それはもったいないと思いました。日本の良いものを海外に届けたい。それが日本でまた働きたいと思った大きな理由です。
・なぜトリドールホールディングスへのジョインを決めたのですか。
トリドールから「一緒に海外事業を推進してほしい」とオファーがありました。実は当時通っていたオフィス近くに丸亀製麵があって、私はそこのヘビーユーザー。また、メディアにもよく取り上げられていたので、積極的に海外進出していくグローバルマインドのある会社だなと以前から注目していました。実際に話を聞いてみると、上場企業としてのリソースやビジネスのフレームワークが整っている大企業でありながら、ベンチャースピリッツがまだ残っている魅力的な会社で、ここでなら自分のこれまでの経験が存分に発揮できるのではないかと思い、ジョインを決めました。
・トリドールホールディングスではどんな仕事をしていますか?
入社してからは3ブランドの海外展開の担当になり、主に海外子会社の経営層や海外フランチャイジーに対して、経営についてのアドバイスや支援を行っています。例えば、現地で購買・物流の問題があればトリドールの関係部署につなぎ問題を解決する。オペレーションで課題が発生すればトリドールのノウハウを活用しながら解決策を模索する。このようにトリドールのリソースやノウハウを活用して事業を成長させていくのが私の役割です。
現在は「ポケワークス」というブランドを担当。アメリカ発のブランドで、アメリカを中心にフランチャイズを展開していますが、今後はアメリカ以外の国にも展開していくため、その準備を進めています。海外にフランチャイズ展開する際は、その国に合わせて接客方法や育成システムをフィットさせることが大切です。例えば、日本の接客スタイルはとても丁寧で礼儀正しい。基本的にどのお店もサービスのレベルが高いのが特徴です。一方アメリカは、フレンドリーな接客スタイルが多い。そういった両者の良さを融合させて、その国にとって一番気持ちのいい接客やサービスをつくっていく。そのバランスを調整するのがとても重要なのです。
・仕事をする際、大切にしているこだわりはありますか。
もともとコーヒーショップで働いていたということもあり、「現場マインド」は忘れないようにしています。数字だけで判断するのではなく、お客様がどうしたら満足するか、従業員がどうしたら働きがいを持てるか、ここを突き詰めて考えていくことをこだわりにしています。
このマインドを大切にするためには、教育(トレーニング)方法をしっかり考えていく必要があります。例えばポーションサイズ。盛り付けの量のことですが、お客様を満足させるためには多く盛ったほうがいい。でも利益を考えるなら少なく盛る必要がある。この思考をベースにトレーニングを行ってしまうと、従業員は「お客様の最大満足ではないけれど利益を考えこのサイズにしている」と思って仕事に臨むことになります。それではお客様にとっても、従業員にとっても「満足」とは言い難いです。そこで大切になるのは「最もおいしいポーションサイズ」を提供するというマインドで教育を行うこと。お客様の満足が第一に来るように従業員のマインドを持っていくことで、満足感や誇りが生まれます。そういった気持ちはお客様にも伝わり、従業員のスキルアップにもつながります。それこそが、いいブランドへと成長していくために必要なものになるのです。
・ブランドを強くするためには現場マインドが重要だと。他にも必要なことはありますか?
これは個人的なミッションでもあるのですが、サステナビリティも今後フードビジネスを行っていく上で必要不可欠な視点だと思っています。もし魚がいない世界になったとしたら、魚業態の店は生き残ることはできないですよね。つまりビジネスを成立させる上でもこの考え方は必要なんです。トリドールにジョインした理由のひとつが、このサステナビリティに取り組む姿勢に共感したから。形だけのエコを見せる企業も多い中、本気で100年後のことを考えてビジネスをつくっていると感じました。
大企業がそういったマインドを持っていることで、飲食業界全体に大きな影響を与えることができます。トリドールが主導してサステナビリティを考えることで、それがあまり前になる社会を実現していきたいと思っています。
・トリドールホールディングスで働くことの魅力は何ですか?
トリドールで気に入っているのは、オープンなスタイル。
日本人は閉鎖的なところがありますが、トリドールでは外国人に対しても非常にオープンでフレンドリー。自分の発想や意見を発信しやすいですし、挑戦したいことを受け入れてくれます。
それは、社長の粟田からも感じます。
オフィス内で出会うと気軽に声をかけてくれ、その場で色々な話をしたり、一緒に食事に行くこともあります。何より粟田の考えるビジョン・ミッションには私自身共感するところが多くあります。働く上で、会社のTOPと同じマインドを共有できることは、働きがいに直結するところだと思います。特に飲食はパッションがないと続けられません。逆にパッションさえあれば、いつまでも、どこまでも突き進んでいけるフィールドだと思います。
・今後、挑戦してきたいことは何ですか?
現在担当しているのはアメリカ発祥のブランドなので、今度は日本発の新しいブランドを母国アメリカに持っていって、私がリードして広めていきたいです。これまで日本に長く住んできて、日本の文化も国民も大好きになりました。アメリカには日本発の飲食ブランドはまだそれほど多くありません。トリドールを通してもっと日本の魅力を発信し、そのサポートを私が担っていきたいです。
そのために必要なのは、グローカライズ。グローバルの視点でビジネスを展開し、地域ごとの文化に合わせた経営戦略を考えていくことです。いくら素晴らしいブランドでもそのままアメリカで人気になるのは難しい。逆に海外の人が日本食ブランドをつくっても日本の文化を深く理解していないと成功は難しい。2つの文化を知り、デュアルマインドを持って実行することがグローカライズには必要なのです。日本とアメリカを深く知る存在として、これまで培ってきた経験を最大限に発揮し、日本発のブランドをたくさん世界に発信していきたいと思っています。