丸亀製麺では全国すべての店で粉から生地を作り、その日の温度や湿度に合わせて調整し、打ちたて、できたての生のうどんの美味しさを追求しています。と同時に、大切にしていることはスピーディーに提供すること。レジに並んでいるうちにうどんが冷めてしまったら台なしですから。温かいうどんは温かく、最高の状態で味わってほしい。
とはいえ、昼時や土日などのピーク時はお客様の列も長くなるので、どうしてもレジまで時間がかかることがありました。西神戸店では以前からレジを2台導入していますが、以前は2台のレジ操作が異なっていたため、1台は操作できてももう1台は操作できないスタッフもいるなど、結局、1台しか稼働できずにお客様を待たせてしまうこともありました。
ですが、2年前に新しいiPadのPOSレジが2台導入されてから明らかに操作性が上がりました。お客様のトレーに置かれた商品を見て、レジに打ち込んでいくのですが、新しいPOSレジは「うどん」「天ぷら」などにカテゴライズされているので、タップすればカテゴリー別に表示され、すぐに打ち込むことができます。iPadで画面も大きく、可動域も広いため、高さや距離もスタッフが扱いやすいように自由に調整できます。商品の並びも自分たちが操作しやすいように変更できるのもメリットです。トレーニングを行う際も持ち運びが可能なため、研修しやすくなりました。
ピーク時のスタッフは9人いて、麺職人、洗い場、ホール、厨房では天ぷらやおむすび担当など各部門に1人ずつ入っています。以前のレジはスタッフによって得手不得手があり、得意な人がレジに入ることが多かったのですが、今のレジは誰でも簡単に操作できるため、混雑時には厨房スタッフも積極的にレジに入ります。2台のレジがフルでスピーディーに活用できるようになり、お客様の待ち時間が明らかに激減しました。
さらに、2022年7月に2台のレジに導入された高速自動釣銭機の役割も大きいです。以前はお札を数え、お客様に確認し、スタッフがお釣りをトレーに載せていましたが、セルフレジのためこの一連の動作すべてを機械に任せられる。これは大幅に時間短縮となりました。また、スタッフがお金に触ることがなくなったため、人的ミスが一切なくなったのは大きいです。その点でも、レジが苦手なスタッフもレジに入りやすくなりましたね。
西神戸店はレーンが短い分、以前はレーンの先まで行列ができることもありましたが、今はそれも解消しました。駐車場に関しても同様です。土日は家族連れも多いため、駐車場が満車となり、お客様をお待たせしてしまうこともありましたが、 回転が早くなったことで駐車場待ちの渋滞がなくなりました。POSレジと高速自動釣銭機の効果は明らかで、回転率も大幅に上がりました。
お客様も待ち時間がない分、満足度が増したように感じています。お客様が釣銭機の操作で話をするときに「このレジにも慣れてきたわ」といったことから、「このお店が好きやねん」「近くにも店舗あるけど、佐藤さんがいるからこの店に来ているんや」など、会話が増え、私たちスタッフも余裕が生まれ、自然と笑顔が増えてきたように感じています。
西神戸店では店内に生地を熟成するための大きな熟成庫があり、レーン手前では手打ち職人が生地を打ち、ローラーで引き伸ばし、切り出し機からうどんを切る様子まで見られるようになっています。うどんを粉から作る過程を一通り見ることができ、“うどんのテーマパーク”的な面白さも味わえます。家族連れのお客様も多いため、お子さまがうどんの製造過程を興味深く観察していたり、麺職人と会話を交わしたり。ただ食べるだけではない、プラスアルファの楽しさも味わってもらえたら嬉しいですね。
私自身は丸亀製麺に勤めて7年目。本社は、現場の声を積極的に聞き入れてくれる体制があるのがありがたいですね。私自身が常に心がけているのは笑顔です。笑顔でいれば、お店に温かい空気が流れる。だから、どんなに忙しいときでもお客様にもスタッフにも笑顔で接するようにしています。
2年前に店長になったときに麺職人の資格を取得しました。丸亀製麺ではうどんについてこだわりがある分、麺職人の資格を取るのも大変で、厳しくトレーニングしてもらいました。資格を取ってからは意識も変わり、「今日は気温が高いから麺の茹で時間を少し短く」「湿度が高いから水の配合を少なめに」など、経験でしか培えないものもわかってきました。DXによって作業がなくなったり、短縮されたことで生まれた時間を有効に活用し、店舗で麺職人を増やし、来店されるすべてのお客様が満足してくれる地域一番店にしていきます。