トリドールホールディングスの売上は、21年3月期がコロナ禍で前年度の1500億円台から1300億円台に落ちました。ところが、翌22年3月期には1500億円台に復帰しました。最大の理由は、中食ニーズの高まりに伴う「丸亀うどん弁当」が大ヒットしたためですが、このV字回復には、単なる中食ニーズの高まりだけでなく、前年からスタートした「DXビジョン2022」によるDX推進も貢献していたのです。
「DXビジョン2022」は、店舗をはじめトリドールグループ全体のDXですが、結果的に中食事業を加速することとなりました。もともと中食ニーズへの対応は、DXとは関係ないところで、メニュー開発、容器の研究などの準備を進めていたのですが、コロナ禍によって中食需要が高まり、開発スピードを上げ、発売することになりました。しかし、モバイルオーダー、デリバリーとサービスが進む中、店舗オペレーションが煩雑になったため、SaaSのモバイルPOSに注文を集約できるようにするなど、店舗オペレーションを一本化しました。
モバイルオーダーには「O:der ToGo」が対応し、テリバリーの注文集約には「Ordee」で対応、すべての注文はモバイルPOSへと連携し、キャッシュレス決済にも対応しています。まだ導入率は高くはありませんが、オールインワン決済端末「stera」は電子マネーなどにも対応できています。
コロナ禍でモバイルオーダーを導入した企業は多いのですが、単に導入だけでなく、「注文→支払い→受け取り」の流れにおいて、スムーズな体験であることがリピート客を増やすことにつながる重要な点です。
こうして2020年5月から始まったテイクアウト導入は、2021年2月には600店舗に一斉展開、5月からは店舗にテイクアウトの専用窓口も作りました。店内飲食とお持ち帰りとの導線を分けることで、これまで以上のたくさんのお客様に対応できるようになりました。また、イートインとの相乗効果が生まれたほか、トッピングとなるてんぷらの売り上げ増加にもつながりました。「丸亀製麺」では、テイクアウトとイートインとの両立にさらに注力していきます。