国内は、物価上昇の継続などを背景に、消費者の価格に対する意識は引き続き高い水準にあると認識しています。一方で、単に安価な商品を求めるのではなく、価格に見合う価値や体験を重視する傾向も強まっており、消費行動の選別化が進んでいると考えています。その環境下においても、堅調な業績と安定的な営業キャッシュ・フローを創出し、グループ全体の成長投資や財務運営を支える重要なキャッシュ創出基盤として、安定的な役割を果たした1年であったと認識しております。丸亀製麺事業においては、各種コストの上昇により2026年1月に一部商品の価格改定を行いましたが、商品・プロモーション・ブランド施策を組み合わせて来店動機の創出を強化してきた結果、既存店売上高前年比は前期を上回る水準で推移し、客数および客単価ともに前期を上回りました。その結果、通期の売上高および事業利益は過去最高となりました。国内その他事業は、売上収益は過去最高となりましたが、原材料費や人件費等の増加を吸収しきれなかったことに加え、将来成長に向けた新業態展開や新店に伴う先行投資負担もあり減益となりました。しかし、国内その他事業は、安定的な利益成長とキャッシュ創出を通じて、グループ全体の成長投資や事業ポートフォリオ再構築を支える基盤として機能しており、資本コスト経営の観点からも重要な役割を担っております。
海外事業については、将来の成長機会を追求する一方で、収益性および資本効率を重視した事業ポートフォリオの見直しを進めた1年であったと認識しています。短期的には減収となる施策も含まれておりますが、中長期的な企業価値向上に向けた資本効率改善の重要な取り組みであったと考えています。Tam Jaiは、中国やシンガポールにおいて、資本効率および収益性の観点から不採算店舗の戦略的閉店を実施した結果、前期比売上で減収となったものの、原価および人件費等のコストコントロールが奏功し前期比増益となりました。収益性の改善に加え、事業ポートフォリオの質の向上も進展したと認識しています。
MARUGAME UDONは、台湾をはじめとしたアジアを中心に各拠点が好調に推移したことで増収となりました。また、英国事業のフランチャイズ化を含む事業ポートフォリオの見直しを進めた結果、収益性および資本効率も改善するとともに、投下資本の軽量化も進み、大幅な増益となりました。
英国が拠点のFulham Shoreは、外食産業を取り巻く経済環境が想定以上に厳しく、収益改善を進めているものの、投下資本に見合う収益性の回復が当初想定より遅れ、減収減益となりました。このような状況を踏まえ、収益性の確保および持続的な価値創出を目的として、大規模な事業再構築に着手しました。これは、資本効率を重視した事業ポートフォリオ改革の一環であり、短期的には一定の痛みを伴うものの、中長期的な企業価値向上を優先した重要な経営判断であったと認識しております。今後は収益性改善と投下資本の効率化を進めることで、早期の事業回復を目指していきます。
また、こうした事業ポートフォリオ改革を支えるため、資本コストを意識したキャッシュアロケーションおよび財務運営を推進してきました。
財務面では、営業キャッシュ・フローの安定的な創出を基盤に、成長投資を優先しつつ、財務健全性と株主還元のバランスを重視した資本配分を進めてきました。
特に2026年3月期は、Tam Jaiの完全子会社化など、海外事業における選択と集中を進める中で100億円を超えるキャッシュアウトを実施しましたが、前期までに戦略的に確保した資金と国内事業の安定的な営業キャッシュ・フロー創出力を背景に、財務健全性を維持しながら機動的な資本配分を実行することができました。
また、従来の銀行借入に加え、人的資本経営評価型ファイナンス(私募債)に取り組むなど、調達手段の多様化を進めることで財務柔軟性の確保にも努めました。
一方で、株主還元についても累進配当および配当性向などの配当方針に基づき、2026年3月期は前期比1円増配の1株当たり11円、2027年3月期は前期比1円増配の12円を予想しており、成長投資と株主還元の両立を進めています。
その結果、2026年3月期は短期的な利益水準のみならず、中長期的な企業価値向上と資本効率改善を見据えた資本配分を実行できた1年であったと認識しています。